人生の待ち時間
二年ぐらい前からだろうか?立ち寄ったお店の店員さんに、夫婦に間違われるようになった。最初の頃はきっちりと否定していたが、途中から面倒になってやめた。
二人が醸し出す抜群の安定感と落ち着きが、そう見せているに違いない。
恋人同士のキラキラとした甘い空気は、もう私たちにはないのね……そう思って私は、せつなくなった。
が、タカくんは、照れくさそうに、嬉しそうに笑っている。「奥様だって、言われちゃったな」なんて言いながら、ちょっと顔を赤くしている。
はっ!なんなの!?照れてるの?喜んでるの?だったらとっとと、あんたの本当の奥様にしやがれいっ!!
……なんて本音は、とりあえず呑み込んで、私は曖昧に笑った。
それは些細な事が、きっかけだった。
お休みの日にタカくんとデートする時は、一応、前日から準備していた。
着ていく洋服を考えたり、お肌のお手入れをいつも以上に時間をかけたり。
付き合いが長くなって、惰性の部分がないとは言えない。でも、私はタカくんの事が、やっぱり好きなのだ。優しいところ、おおらかなところ、意外と頑固なところ、私の名前を呼ぶ声とかも……だから、タカくんに対して最低限の緊張感はもっている。
今さら……と思われるかもしれないが、少しでもきれいにした自分を見せたいと、がんばっているつもり。