人生の待ち時間


その時も、いつものように前日から準備をしていた。当日、余裕をもって準備を始めたつもりでも、なぜか待ち合わせ時間ギリギリになってしまう。アイラインが気に入らない、髪型がきまらない……なんてやっているせいだ。

バタバタと準備をして、さあ、出かけよう!とした時。

「アイ!スカートのお尻の所、汚れてるよ?」

と、母に声をかけられた。「ウソ!」慌てて確認してみれば、確かにお尻の所が汚れていた。

どうして?と苛立ちながら、濡れたタオルで拭いてみた。汚れは多少薄くなったが、広がった。ベージュのスカートに、とても目立つシミができていた。

「もう、なんで……」

汚れたスカートを抱えて、私は呆然と座り込んだ。

いつもの私だったら、すぐに違う服に着替えて、タカくんとの待ち合わせ場所に向かったはずだ。

なのにその日は、ひどく落ち込んで動けなかった。生理前……だったせいかな?

しばらく座り込んでから、ようやく立ち上がった。着ていく服が思い浮かばず、お気に入りのスキニージーンズと、淡いピンクのニットに着替えた。

タカくんと会う時は、スカート率が高い。私は身長が低いので、ミニスカートだとバランスがとりやすくてよく履いていた。

以前(まえ)に、タカくんに言われた。「可愛い。似合ってる」と。すごく嬉しかった。それから、できるだけミニスカートを履くようになった。アラサーとなって、スカート丈は少し長くなったが。

……恥ずかしくて、タカくん本人には言っていない。これからも、言うつもりはない。



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