人生の待ち時間
それから三十分もしないうちに、花見が終わった。宴会時間はいつもより短かったが、寒さに耐えきれない人が続出で、早めの終了となったらしい。
翌日も仕事なので私はこれで帰るが、営業部のタカくんの二次会への参加は、ほぼほぼ決定事項だ。
後片付けをして、みんなが帰る一番最後をタカくんと二人で歩いていた。
「二次会、がんばってください!」
「明日もあるからね。……まっ、無理しない程度にがんばるよ」
肩を竦めながら、タカくんは言った。
その時、ザワザワーッと、春の風が私達の間を通り抜けていった。
土埃が舞い上がり、満開の桜の花びらがヒラヒラと散るのを、髪の毛を押さえながら見た。
「きれい……」
舞い落ちてきた桜の花びらを両手で受け止めて、自然と言葉が溢れた。
「ああ。本当に、きれいだ……」
吐息混じりのタカくんの言葉に、タカくんを見た。予想外に真剣な眼差しとぶつかって、思わず息を呑んだ。
「あっ……」
タカくんの肩に、花びらが一枚のっていた。頬を緩ませながらタカくんに近付き、右手を伸ばす。背伸びをするようにして、肩にのった花びらをそっとつまんだ。
「桜も、二次会に参加するところでした」
微笑みながら、花びらをつまんだ右手を掲げた。
タカくんの右手が、私の右手首を掴んだ。
「えっ?」