君の声が聞きたい
一体どうしたらいいの？
私がそう焦っていると。

「神木隼人だよ」

「えっ………？」

「俺の名前。覚えてよ、白石さん」

「………はい。神木君、ですね！」

なんだろう。
心が………暖かくなっていく。
こんなの初めて。


そして私は家に帰ってから学校の全校生徒の名前と顔写真つきの分厚いのを取り出した。
それで神木隼人君という人物を探す。

「あった！」

クラスは私と同じクラスの1年C組。
成績は上の中。
運動も得意で裁縫も得意、か………。

パットみ頭悪そうなんだけどな。
人は見た目で判断しちゃダメってことよね？

「神木隼人君………」

君は一体、何者なの？
一目見たときから忘れられない。
そして………。

『神木隼人。俺の名前だよ。覚えてよ、白石さん』

あの言葉がずっと胸に残っている。
忘れられない。
あの笑顔も。


「琴音お嬢様、旦那様がお呼びです」

「えっ………お父様が？」

何かあったのかしら？
とにかく行かなきゃ。

私はお父様のお部屋の前で立ち止まり呼吸を整えてからノックをした。

「入れ」

「失礼致します」

ドアを開けるとお父様は自分の椅子に座っていた。
私はお父様の目の前の椅子に座る。

「お父様、お話とは？」

私は座って少ししてから聞いた。
何かやらかした覚えもないし。

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