君の声が聞きたい
「琴音」

お父様が口を開いた。
私は身構えていた。
何を言われるのかと恐くて。

「琴音、お前今日………学校に着いた後、何をやった?」

お父様は気まずそうに聞いた。
私は考えた。
学校に着いた後は………神木君達と話してたな。

「友達とお話ししていました」

「そうか………」

なんだろう?
お父様の様子がおかしいような………。
気のせいかな?

「お父様、どうかなさいましたか?」

「何もない。もうよい」

「………失礼致します」

やっぱり私の気のせいじゃない。
私はそう確信して部屋を出ていった。
部屋に戻った私はベッドに座って考えた。

何で様子がおかしかったのかな?
顔もいつもより怖かったし。
何かしたような覚えなんて本当にないし。

「………」

眠い………。
いつの間にか私は眠くなって必死に我慢しても睡魔に抗えず深い眠りに落ちた。

『………琴音』

………誰?
どこかで聞いたことがあるような声。
だけど顔が見えない。
何も思い出せない。

『琴音………っ』

あなたは誰なの!?
私は叫びそうになった。
だけど叫ぶ前に彼が言った。

『琴音………っ!』

苦しそうに、でも愛しそうに呼ぶ私の名前。
何でそんな苦しそうにして私の名前を呼ぶの?
私はわからなかった。

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