君の声が聞きたい
夢の中の彼

『琴音………』

私は目を覚ますと自分の部屋の天井が見えた。
あれは………夢だったの?

「………っ!」

私は思いっきり起き上がった。
それで身支度をした。

「久しぶりに見たな………」

この夢は初めてじゃない。
いつから見なくなったのかも。
いつから見始めたのかもわからない。
だけど突然見なくなった。

「何でまた………っ」

あの夢はなぜか私の胸を苦しめる。
彼の悲痛な叫び。
愛しそうに呼ぶ声。
あの二つが混ざってるのはどうして?

『琴音………っ!』

私は胸を握りしめた。
思い出せそうで思い出せない。
思い出したいのに。

「どうしてよっ!!」

私は強く握りしめた。
強く、強く強く強く!

「お姉ちゃん………」

突然、誰かの声が聞こえて振り向いた。
そこに立っていたのは。

「………きいな」

私の妹のきいなだった。
妹のきいなはなぜか複雑な顔をしている。
だから私は優しく聞いた。

「どうかしたの、きいな?」

「お姉ちゃん………うなされてた」

「え………?」

私が………うなされてた………?
あの夢で………?

「だから心配で………。お姉ちゃんが起きた音がしたから着替えてきた」

きいなはそこまで私のことを心配してくれてるんだ。
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