幸せな結末
番外編~あの時本当は~
「大丈夫か?」
「うん。」
大きなお腹の理恵がソファに横になっている。
妊娠してからも理恵は自分の甲状腺ホルモンの治療を続けている。
無事に流産することなく妊娠7か月までくることができた。
それでも俺も理恵も言葉にはしなくても完全に安心したわけではない。

治療薬は胎児に影響の少ないものに変えた。
それでも副作用があり、理恵は頭痛や倦怠感、手足の寒さや動悸を感じることが多い。
仕事は早い段階で休みをもらい自宅で安静にして過ごしている。

それでもその日によっても、時間によっても体調は変化する。

今日は俺の仕事も休みの日。
朝目覚めて朝食をとり、家事を手伝っていた時理恵が動悸を訴えてソファに横になりながら様子を見ていた。
「お腹も張ってるな。」
「うん。ちょっと横になってもいい?」
「もちろん」
< 259 / 280 >

この作品をシェア

pagetop