距離感
これで、いいんだ。
王子には嫌われたけど。
王子はニブちんだから、これくらいはっきり言わなきゃ伝わらないんだ。
あの容姿で優しくされたら、皆好きになるし。
期待だってしてしまう。
でも、そこで王子の場合、優しさはキープするけど相手の期待を読み取ろうとはしない。
要さんが告白しない理由はきっと、そこにある。
怖いんだろうね、王子に拒絶されるのが。
王子は誰にでもニッコニコ笑っているけど。
時折、何を考えているのかわからなくなる。
というか、何も考えていないのかもしれないな。
自分の気持ちを読み取って。
要さんの心の支えになれば、いいじゃないか。
2人が幸せになれば、いいのだよ。
「カッチャン、おはよう」
会社の最寄り駅で、誰かに挨拶される。
私は王子を見て、「げぇ」と声に出てしまった。
気まずいと思っていたのに。
まさかの朝イチで会うとか…。
「おはようございます、王子。昨日はあのぉ…」
「カッチャン。俺ね、考えたの」
「はい?」
人々が足早に、それぞれの目的地へと歩いて行く。
人ごみの中、会社に向かって歩きながら。
王子は私の横に立って。
「カッチャンは俺のことよく見てるね。確かに、俺は卑怯だと思う」
「いや、昨日はちょっと言い方悪かっただけで、そんな…」
「だからね、考えたの。要ちゃんのこと」
自分が言い切る前に王子が喋った。
「自分の気持ちと向き合ってみたんだ」
「そうですか」
「あのね、やっぱり自分の気持ちに正直に生きようって思ったんだ」
「そうですか。それが一番ですよ」
要さんと付き合うのか。
自分がキューピットになってしまうのかと思ったら、何だか笑えた。
「あのね、俺、要ちゃんのこと妹みたいだなって思ってるの」
「は?」
王子には嫌われたけど。
王子はニブちんだから、これくらいはっきり言わなきゃ伝わらないんだ。
あの容姿で優しくされたら、皆好きになるし。
期待だってしてしまう。
でも、そこで王子の場合、優しさはキープするけど相手の期待を読み取ろうとはしない。
要さんが告白しない理由はきっと、そこにある。
怖いんだろうね、王子に拒絶されるのが。
王子は誰にでもニッコニコ笑っているけど。
時折、何を考えているのかわからなくなる。
というか、何も考えていないのかもしれないな。
自分の気持ちを読み取って。
要さんの心の支えになれば、いいじゃないか。
2人が幸せになれば、いいのだよ。
「カッチャン、おはよう」
会社の最寄り駅で、誰かに挨拶される。
私は王子を見て、「げぇ」と声に出てしまった。
気まずいと思っていたのに。
まさかの朝イチで会うとか…。
「おはようございます、王子。昨日はあのぉ…」
「カッチャン。俺ね、考えたの」
「はい?」
人々が足早に、それぞれの目的地へと歩いて行く。
人ごみの中、会社に向かって歩きながら。
王子は私の横に立って。
「カッチャンは俺のことよく見てるね。確かに、俺は卑怯だと思う」
「いや、昨日はちょっと言い方悪かっただけで、そんな…」
「だからね、考えたの。要ちゃんのこと」
自分が言い切る前に王子が喋った。
「自分の気持ちと向き合ってみたんだ」
「そうですか」
「あのね、やっぱり自分の気持ちに正直に生きようって思ったんだ」
「そうですか。それが一番ですよ」
要さんと付き合うのか。
自分がキューピットになってしまうのかと思ったら、何だか笑えた。
「あのね、俺、要ちゃんのこと妹みたいだなって思ってるの」
「は?」