【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
「きみだけがなにか負うわけじゃない。ふたりでするんだ」
「そうなんですか……」
「俺も努力する」
こればかりは、心の底から「なにをですか」と聞きたくなった。だけど今はそういうときじゃない気がしたので、やめた。
一臣さんが少し身体を離し、私と目を合わせる。一瞬の合意のあと、唇が重なってきた。
ワインで冷えた唇が、次第に温まっていく。
一臣さん、私は今、あなたのおかげで飛べそうに身軽です。だから両手であなたを抱きしめ返すことができる。
こんなふうに。
彼の背中に腕を回してしがみつくと、私を抱きしめる力と、唇を押しつける力が強まった。
にぎやかなフェスタの片隅で、私たちはそうやって、長い長いキスをした。

久しぶりに訪れた、一臣さんのマンション。
私の部屋は「さみしくなるから」と一度も開けていないらしい。中を確認することはできなかった。
手を引かれて、まっすぐ彼の部屋へ向かったからだ。
部屋へ入ると、上着と鞄を投げ捨て、一臣さんはまた私にキスをした。私の頬を両手で挟み、上を向かせて唇を合わせる。
駅からここまですぐとはいえ、歩いてきたぶん息が切れていて、私は苦しくて、唇が離れたときは思わず大きく息をついた。
「あの、すぐに、ですか」
間近にある彼の瞳が、まっすぐこちらを見つめている。
頬をなでていた手が首のほうへと移動した。襟の中に指先が入ってくる。ほんのわずか、布の下を探られただけで、私はびくっと震えた。
「お茶でも飲む?」
耳に吹きこまれるささやきに、必死で首を横に振った。
飲んで落ち着きたい気持ちはある。だけどもう一臣さんが、ソファに並んでハーブティを飲むような彼じゃなくなっている。
おそらくわざと、小指と薬指を私の服の中に残し、彼の手がうなじや首すじをなでる。私は彼のシャツの胸元を、ぎゅっとつかんだ。
「少し慣れたら、一緒にシャワーを浴びよう」
声だけは申し訳なさそうに、気づかわしげだ。どんな表情をしているのかは、うつむいて唇を噛んでいる私にはわからない。
やっとのことでうなずいた。
それは、思った以上の承諾を与えてしまったみたいだ。一臣さんの手が突如熱さを増し、ブラウスのボタンを胸元まではずすと、中にすべりこんでくる。
むき出しになった肩にぶつかってくる唇と歯。肌をくすぐる舌。
もう立っていられなかった。


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