【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
「きみがまじめなのを忘れてた。そんなに悩んでくれなくていい。悪かった」
「……といいますと」
「おもしろくなかっただけだ。俺は彼と敵対してるわけでもない。きみにだって社内の人間関係を作る権利がある」
はあ、と彼を見返す。
「つまり、行ってもかまわないということでしょうか?」
「いや、かまわなくは……ない」
え、どっち?
一臣さんが、ごほんと咳ばらいをする。
「行ってほしくはないが、行くのを止めはしないってことだ」
「おいやでしたら、私は行きません」
「いやだと言える立場にないんだよ、わかってくれ」
「私のボスでしょう?」
彼以外に、だれがいやだと言えるのか。
私は彼の望まないことはしたくないし、それこそ、する立場にない。
珍しく真意のはっきりしない物言いを続ける彼が、顔をしかめ、叱るような、諭すような口調で言った。
「ボスとして、いやがってるわけじゃないからだ」
見つめあったまま、しばらくどちらも口を開かなかった。
私は思考が空回りし、彼はそれを見抜いていたに違いない。
「……つまり?」
「これ以上は言わない。きみもそろそろ、察する訓練をしろ」
ものすごく上から怒られた。
「きみは自己評価が低い。それゆえにある分野において、非常に鈍い。それを自覚して、客観的に“つまりどういうことか”考えてみるといい」
「は、はい……」
「俺は伝えた。気づくかどうかはきみ次第だ」
言い捨てると、彼はぷいとそっぽを向いてしまった。
一臣さん、私、こうしたことに無知ですが、おっしゃるとおり考えることはできるので、たぶんもう、答えを知っています。
ただ、それを自分に信じさせるのに、慣れない力を使わないといけないだけで。
「一臣さん」
「……うん」
「……といいますと」
「おもしろくなかっただけだ。俺は彼と敵対してるわけでもない。きみにだって社内の人間関係を作る権利がある」
はあ、と彼を見返す。
「つまり、行ってもかまわないということでしょうか?」
「いや、かまわなくは……ない」
え、どっち?
一臣さんが、ごほんと咳ばらいをする。
「行ってほしくはないが、行くのを止めはしないってことだ」
「おいやでしたら、私は行きません」
「いやだと言える立場にないんだよ、わかってくれ」
「私のボスでしょう?」
彼以外に、だれがいやだと言えるのか。
私は彼の望まないことはしたくないし、それこそ、する立場にない。
珍しく真意のはっきりしない物言いを続ける彼が、顔をしかめ、叱るような、諭すような口調で言った。
「ボスとして、いやがってるわけじゃないからだ」
見つめあったまま、しばらくどちらも口を開かなかった。
私は思考が空回りし、彼はそれを見抜いていたに違いない。
「……つまり?」
「これ以上は言わない。きみもそろそろ、察する訓練をしろ」
ものすごく上から怒られた。
「きみは自己評価が低い。それゆえにある分野において、非常に鈍い。それを自覚して、客観的に“つまりどういうことか”考えてみるといい」
「は、はい……」
「俺は伝えた。気づくかどうかはきみ次第だ」
言い捨てると、彼はぷいとそっぽを向いてしまった。
一臣さん、私、こうしたことに無知ですが、おっしゃるとおり考えることはできるので、たぶんもう、答えを知っています。
ただ、それを自分に信じさせるのに、慣れない力を使わないといけないだけで。
「一臣さん」
「……うん」