【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
乱れた髪をかき上げ、一臣さんが呆然と声を発した。
「花恋……え?」
「あの、6時です」
「え……?」
「起こすよう言われましたので」
思い出したらしい。目つきがはっきりしてきたかと思ったら、はーっと息をついて彼がうなだれた。
「すまない、モーニングコールのつもりで頼んだみたいだ」
「私も、そうじゃないかなと思ってました」
モーニングコールを頼まれることは、これまでにも何度かあった。
ただそれは保険のようなもので、彼はいつも私が電話する前に目を覚ましていて、声はしゃんとしていた。
遮光のカーテンを少しだけ開けた。部屋がふんわり明るくなる。
ベッドの上に座りこんだ一臣さんが、首をかしげた。
「なら、どうして電話で済ませなかったんだ?」
「迷ったんですが……これをお渡ししたかったのと」
差し出したコーヒーのカップを、彼がうれしそうに笑って受け取る。
「いい香りだ、ありがとう」
「それと、お話があって」
「話?」
私は彼の足元にひざをついた。
「刈宿さんとの食事の件ですが、お断りしようと思います。思慮が足りず、申し訳ありませんでした」
「え……」
「彼が一臣さんのポジションを狙っているのは周知の事実です。そんな方と私が軽率に食事をするわけにはいきません。最初からお断りすべきでした」
ゆうべ、再びベッドに入って考えたのだ。ことさらふたりの関係をややこしくするようなまねをするわけにはいかない。
「あー……」
一臣さんが、ぱりぱりと頭をかく。部屋着姿ですら小ぎれいな彼の、ここまで油断した格好を見るのは、特権的なよろこびがないでもない。
「花恋……え?」
「あの、6時です」
「え……?」
「起こすよう言われましたので」
思い出したらしい。目つきがはっきりしてきたかと思ったら、はーっと息をついて彼がうなだれた。
「すまない、モーニングコールのつもりで頼んだみたいだ」
「私も、そうじゃないかなと思ってました」
モーニングコールを頼まれることは、これまでにも何度かあった。
ただそれは保険のようなもので、彼はいつも私が電話する前に目を覚ましていて、声はしゃんとしていた。
遮光のカーテンを少しだけ開けた。部屋がふんわり明るくなる。
ベッドの上に座りこんだ一臣さんが、首をかしげた。
「なら、どうして電話で済ませなかったんだ?」
「迷ったんですが……これをお渡ししたかったのと」
差し出したコーヒーのカップを、彼がうれしそうに笑って受け取る。
「いい香りだ、ありがとう」
「それと、お話があって」
「話?」
私は彼の足元にひざをついた。
「刈宿さんとの食事の件ですが、お断りしようと思います。思慮が足りず、申し訳ありませんでした」
「え……」
「彼が一臣さんのポジションを狙っているのは周知の事実です。そんな方と私が軽率に食事をするわけにはいきません。最初からお断りすべきでした」
ゆうべ、再びベッドに入って考えたのだ。ことさらふたりの関係をややこしくするようなまねをするわけにはいかない。
「あー……」
一臣さんが、ぱりぱりと頭をかく。部屋着姿ですら小ぎれいな彼の、ここまで油断した格好を見るのは、特権的なよろこびがないでもない。