庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「えぇ、元気元気! お兄ちゃんも椎花も出て行っちゃってちょっと寂しいけど、お父さんと二人で出掛けたり、それなりに楽しんでるわ~」
お酒をちょっと飲んだだけなのに、すでに頬がほんのり赤い母が饒舌に言う。
だけどそれを聞いてホッとした。二人を置いて上京してしまったこと、ちょっと悪かったなって思っていたから。
「それはよかったです。それにしてもお母さんいつまでもお若くて、昔から全然変わりませんね」
「やだ~そうかしら」
千晃くんのリップサービスを真に受ける母が痛い。
母は昔から千晃くん千晃くんで、息子の友達というより、一種のファンみたいな感じだった。そんな昔からのお気に入りが、もしかしたら息子になるかもしれないと、きっと浮かれているんだろうなぁ。
全部嘘だなんて絶対言えない。両親をこんなにも舞い上がらせて、いったいどうする気なんだ、千晃くんは。
「で、二人はいつから付き合ってるの? 全然知らなかったからビックリしたわぁ」
「桜太の結婚式で再会して、それで。ね?」
と突然でっち上げた馴れ初めをふられ、内心ビックリする。しかも即答っていう。いつから考えていたんだ。そういう体にするんだったら最初から教えておいてよ。
「あー……うん、そうそう。あの時久しぶりに話して、それで」
そう言う私を見て、千晃くんがクスッと笑ったのを見逃さなかった。どうせ白々しいとか、もっと上手にやれよ、とでも言いたいんだろう。