庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす



「千晃くんたら、こんなに立派になちゃって。起業したんですって? ご近所でも専らの噂よ〜」

 ここに着いてから母がずっと裏声だ。もう目からハートが飛び出しそうで、見ているこっちが恥ずかしそうなくらいメロメロなんだ。隣にいる父が気の毒だと一瞬思ったりもしたが、父は父で、私が千晃くんをつれて来たことに喜んでいる。

 まぁ良く知っている間柄だし、千晃くんは昔から外面がいい。家柄も申し分ない。きっと心の中で、椎花でかした! なんて手を叩いているんだろう。

「ご無沙汰しています。お元気にしてましたか? お父さん、お母さん」

 極上の笑顔をむけ食前酒を傾ける。なんていうか、よくそんな平然としていられるな。ハートが強いというか、図太いというか。

 しかもここに来るまでの間、私を引きずりながら警察に連絡してくれた上に、銀行やカード会社への連絡など、被害を最小限にするために動いてくれた。

 しかもワンピースまで新調してくれた。その行動はどれもてきぱきとしていて、嫌味なくらいスマートだった。

 お陰で色々と助かった。だけどなんていうか……。あとから高額な請求書が届くんじゃないかって不安でいっぱいで、目の前にあるおいしそうなフレンチも喉を通らないでいる。




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