庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「千晃くん、汗すごいよ」
どうして皮肉ばかり口に出してしまうんだろうと後悔していると、椎花が自分のハンカチを取り出し、それを俺の額に当ててきた。そのハンカチからは甘ったるい匂いがして、思わず払いのける。
「いいから、そんなの」
「ご、ごめん」
「ほら、後ろ乗れよ。送っていくから。最近ここらへん変質者がでるって言ってたぞ」
自転車のスタンドを上げ、後ろを指さす。だけれど椎花はいっこうに乗ろうとしない。
「なんだよ。早くしろよ」
「いい。千晃くんのファンクラブの人に見られたら怒られちゃうから」
「はぁ? 勝手に言わせておけばいいだろ?」
「だってあの人達怖いもん」
怖いって……。もしかして既に何かされたのだろうか? そう思うと腹が立った。
「じゃあ椎花がこれ乗って帰れ。俺走るから」
「それも嫌! 千晃くんの自転車乗ってるってバレたらどうなるか」
「バレるわけないだろ!」
あー埒あかない。このままじゃ日が暮れる。再びスタンドを立てると、ぶすっとした顔であさっての方向を見る椎花をかつぐようにして後ろに乗せた。
「やっ、ちょっとやめてよ!」
「いいから捕まってろ」
抵抗する暇も与えず、その場を勢いよく飛び出す。椎花は最初はうだうだ文句を言っていたが、次第に言わなくなった。
世話の焼けるやつ。なんでこうもガキっぽいんだ。
でも……昼間、香坂に言った幼児体型というのは取り消しておこう。
なぜなら、背中に当たる椎花の感触は、想像以上の柔らかさだったから。