庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす

 えっ!? と後ずさりながらドアを見つめていると、あくびを噛み殺しながら千晃くんが入ってきた。

「キャー! まっ、待って!」

 思わず悲鳴が上がる。それに気づいた千晃くんも、わー! ごめん! と言いながら慌てて扉を閉めた。

 嘘、どうして? 絶対見られた、今絶対見られたよ! 半泣きになりながらその場にうずくまる。

「椎花、ごめん。てっきり中にいると思ったから」
「にゅ、入浴剤、探してて」
「あぁそうなんだ。あのさ、俺、そこにメガネ、置き忘れてない?」

 そう言われ洗面台に目を向けると確かにあった。千晃くんのメガネ。

「うん、ここにある」
「やっぱり」
「中に戻るから、そしたら取りに来て」

 そう言って浴室の扉に手を掛けた。

 壁一枚向こうにいるんだよね。そう思うだけでドキドキした。

「ねぇ、椎花」
「ん?」
「そっち行っていい?」
「え? まだだよ、ちょっと待っ……ひゃっ」

 再び後ろの扉が開いたと思ったら、千晃くんが入ってきて、勢いよく背後から抱きしめられた。

「ち、千晃くん!?」

 千晃くんにすっぽり包み込まれ、彼の体温がダイレクトに伝わってくる。

「こんなの見せられたら堪えきれなくなる」

 えっ……? 

 それって、もしかしてこのまま……!?

 嘘、どうしよう、心の準備か。でも、もう夫婦になるわけだし……。自然の流れというか。でも色んな順序をすっ飛ばしているような気もするし……。

 体はガチガチなのに、頭の中はあれこれ思考が忙しく駆けまわっている。

 そんなことを考えている間にも、千晃くんの手が私の肌を優しく撫でるように這う。ドキドキしすぎて心臓が飛び出してしまいそう。


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