庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「我慢してるんでしょ、高宮さん」
「どうして?」
「だから私に聞くなっつーの!」

 どういうわけか逆鱗に触れたらしく、激しく突っ込まれた。シュンとしながら、小鉢の冷奴に箸をつける。

 もし彩子の言う通りなら、どうして我慢するんだろう。してほしいとかじゃなくて単純に疑問。もうすぐ夫婦になる予定なのに。求められたら求められたで、困っちゃうんだろうけど。

 現に昨夜は知らない千晃くんを見た気がして、すごく戸惑った。私の体をすっぽりと覆っちゃうくらい大きくて、今も感触が残っている。私を包む腕もたくましかったな。

 ……って、なに考えているんだろう。昨日のシチュエーションが脳内で勝手に再生され、顔がボッと熱くなる。これじゃただの変態だよ。

「なに一人あたふたしてんのよ」

 勝手にテンパる私に気が付いたのか、彩子が頬杖を突き、またニヤニヤし始める。

「うだうだ考えていないで、自分から誘えば? 私ならそうする」
「やっ、だからそうじゃなくて。だいたい誘うなんてできないし」
「じゃあまたそういう雰囲気になったら流されちゃえばいいのよ。私にしてみればあんな素敵な人と同じ屋根の下にいるのに、今だにプラトニックっていうほうが信じられないわ」
 
 一瞬天井を仰ぎ、呆れたように言う。そんな彼女の前でうーんと頭を抱えた。

 どっちに転んだって複雑な気持ちになるなんて、私はなんて身勝手なんだろう。

 千晃くんは昨日のこと、どう思っているのかな……。

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