Fairy

すると次の瞬間、その優しい声をした男は気持ちの悪い笑みを浮かべる。


一瞬で背筋が凍って、再び恐怖に襲われた。




[ 一人でこんな所来ちゃ駄目でしょ〜。迷い込んじゃったの? ]

「 え…あ、あの、 」




男が笑いながら言う言葉に、動揺を隠せない。



…この人達、危ない。

そう感じた時にはもう遅くて、無理やり抱き抱えられてしまった。恐怖のあまり声を出すことすら出来なくて、震えは増すばかり。
先程の場所より、もっと暗い路地裏に連れ込まれると、再び男の人達に囲まれて。こんなの、絶対に逃げられない状況だ。

どうしよう、私はこれから、何をされるんだろう。
…ただ分かるのは、私が助からないという事だけ。




「 嫌っ、誰か…!」




やっとの思いで声を出すけれど、その声はあまりに小さくて、情けなく震えていて。

男は笑いながら[ そんな小さい声じゃ、誰も来ないよ? ]と言い、また別の男は、その言葉に対して[ ま、この街には助けに来る奴なんて居ないけど。 ]と、私の目を見て笑った。



…ここは、異常だ。

そう確信した瞬間、男の手が私の体に触れた。
必死に抵抗しても、女一人では、男数人を相手に力で勝つことなんて出来ない。そんなことは分かっていた。

震える体に必死に力を込めるけれど、もちろん、全く動かない。
それどころか、シャツのボタンはどんどん外されて、目の前には気持ちの悪い笑みを浮かべた男達が。

このまま無理やり襲われてしまうのだろうか。
涙で目の前の視界が歪んで、喉仏が震えて声が出ない。



男が私の首筋に顔を埋めて、目を閉じた時だった。









_____ グチュッ…。









目をぎゅっと瞑っていると、何かを抉ったような、液体と気泡が混じったような音が聞こえる。
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