Fairy

言われるがままについて行くと、そこは、プールのすぐ側にある建物の中だった。そこからは直接プールが見えるようになっていて、中は豪華でお洒落なBARのようなところ。
慣れないな、なんて思っていると、白椛さんは、プールに一番近い、真ん中のソファーに腰を下ろした。




〔 遠慮しなくていいから、隣おいで。 〕

「 …はい。 」




言われるがまま、白椛さんの隣に腰を下ろす。

すると、髪をきちんとセットしてタキシードを身につけている男性がこちらへやって来て、そっとお酒を出してくれた。




〔 で、慣れた?この生活には。 〕

「 うーん…。慣れたって言っても嘘になりますし、慣れてないって言っても嘘になります。 」




彼は、私の言葉に〔 だろうね。 〕なんて言いながら笑って、一口お酒を飲み込んだ。
カラン、と氷が音を立てて、涼しげのある音が耳に響く。




「 あの…晴雷さんとは一体、 」

〔 あー、やっぱり気になるよね。あんまり深いことは話せないけど、あいつは俺の弟みたいなもんだよ。 〕




深くは話せない、の言葉には戸惑ったけど、弟というワードに少しだけ安心する。
彼らにも、ちゃんとした暖かい人が周りにいるんだと思うと、何故か私の方が安心していたのだ。




「 …弟、ですか。 」

〔 あぁ。だから游鬼や狂盛も可愛い弟だし、もちろん、紅苺ちゃんも妹みたいなもんだよ。だから、これからは遠慮なく頼ってね。 〕




白椛さんの言葉にお礼を言うと、彼は〔 いいんだよ。あと、俺のことは渢でいいから。 〕と、満足そうに私の濡れた髪を撫でた。

私も出されたお酒を少しだけ飲んで、プールで楽しそうに話している三人を見つめる。
周りにいる人達の中で一際目立っていて、やはり彼らはオーラが違う。それは、渢さんにも言えること。
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