明日は明日の恋をする
社長室(鈴里目線)ーー

「失礼します。」

明日香から頼まれて社長秘書を引き受けたものの、本当に良かったのだろうか。社長にも事情を話さず社長室(ここ)に来たけど、絶対変に思われているはず…。

でも明日香にも何か事情があるみたいだし、上手く乗り切らないといけない。

私は有栖川財閥のお嬢様が好きだという高級な紅茶を準備して社長室へ入った。

「紅茶をお持ちしました。」

私はお嬢様と社長の前に紅茶を置く。その際チラッと社長の顔を確認したけど、やっぱり何で明日香じゃなくて私が来たのか…と少し驚いてる表情をしてるような気がした。

「まぁお気遣いありがとうございます。今日は高瀬さんではないのですね?」

「高瀬は今出張中なんですよ。」

「そうでしたの。高瀬さんにもお会いしたかったのに残念ですわ。それに明日香さんのお話も聞こうと思ってましたのに。」

明日香?

お嬢様と明日香って知り合いだったんだ。ならどうして明日香はお嬢様を避けるのだろう。そういえば美術館で明日香と高瀬課長を見かけた時、社長やお嬢様と話してたし、明日香達は恋人のふりをしてたって言ってたけど…何で?

考えれば考えるほど訳わからない。もう一度社長の方を見てみると、私の視線に気づいた社長は私を見てニッコリとした。深く詮索するなって事かしら。

「次の予定の前にまた伺います。それでは失礼します。」

私は一礼して社長室を出た。

明日香と高瀬課長、そして社長…一体どんな事情があるのだろう。気にはなるけど、私が不倫している事を言えないように、明日香にも言いたくない事はあるだろうから、私から明日香に今回の事情を深く追求する事はしなかった。
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