明日は明日の恋をする
社長室(高瀬目線)ーー

出張の報告をするのもだが、俺が社長室に残っているのはケイスケと話がしたかったからだ。

「見た感じは…普通だな。」

「何の事だ?」

「ケイスケさ…俺に何か話す事ない?」

「…。」

珍しくケイスケの表情が曇った。この反応…やっぱり何かあるな。俺は足を組み直して話を切り出した。

「実はさ、出張に行った時に会長に相談されたんだ。最近、会長に会った時に言ったんだろ?『会社を辞めたい』みたいなこと。だからケイスケに何かあったんじゃないかって…会長が心配してた。」

「その事か。確かにこの前飲みに行った時に言ったかもな。」

「それって…本当はお嬢様との縁談を断って明日香ちゃんと一緒に居たいって事だろ?」

「…否定はしないが、縁談を断ったら俺が社長を…いや会社を辞めても、会社に与えるダメージは変わらない。だから有栖川との縁談は断らない。酒の席で少し弱音を吐いただけだ、気にするな。それに…。」

「それに?」

「俺と明日香、今月末で…別れるんだ。」

「はぁ!?何で…お嬢様との結婚が決まったのか?」

「結婚は決まってないが…2人で話をして…決めたんだ。」

俺は言葉を失った。2人の間で話をして決めたのならしょうがないかもしれない…あんなに仲よさそうだったのに。それよりも俺はケイスケが悩んでるのに何も相談してもらえなかったのが寂しかった。親友だと思っているのは俺だけだったのか。

「ケイスケ…何で俺に相談してくれないんだよ。確かに俺は頼りないし相談しても無駄とか思うかもしれないが、俺はいつでもお前の力になりたいと思ってる。たまには…俺にも弱音吐けよ。本音見せろよ。親友だろ?」

俺は立ち上がり、ケイスケに向かって叫ぶように話した。ケイスケも俺の顔を見て何かを言おうとしたが、社長室のドアをノックする音がして会話は終了した。

「失礼します。」

明日香ちゃんが社長室に来た。次の予定の時間か。ケイスケとの間に微妙な空気を残したまま俺は社長室から出た。

「ナオト。」

社長室から出た後、ケイスケも社長室から出てきた。俺は呼ばれて立ち止まる。

「俺はまだ…心の整理がついてないんだ。落ち着いたら今度ゆっくり話を聞いてくれるか?」

「朝まで付き合うよ。」

俺は笑顔でケイスケに言うと、そのまま背中を向けて手を振り、秘書課へと向かった。
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