明日は明日の恋をする
「…着替えてくる。」

進藤さんは私から手を離し、背を向けて部屋を出ようとする。私は出ていく進藤さんを見て何だかたまらなく寂しくなり、思わず進藤さんの後ろから『待って』と言わんばかりに抱きついた。

「明日香?」

「お願い…抱いて…。」

私は自分で言った言葉が恥ずかしくて抱きつく手に力が入る。でも進藤さんと触れ合いたかった。最後に抱いて欲しかった。

お願い…

私の想い、通じて…

進藤さんは後ろから抱きついている私の手をそっと握る。

「俺だって今すぐ明日香を抱きたいさ。でも…未練が残りそうで怖いんだ。」

進藤さんの顔は見えないけど、多分辛そうな表情しているのは分かる。でも、私は引かない。

「抱いてくれないなら…私は今すぐこのマンションを出るからね。いいの?」

凄くワガママ言っているのも進藤さんが困っているのも分かっている。予想外の私の言葉に進藤さんは唖然とした様子で私の方に振り向いた。

「少しでも明日香と長く一緒にいたいのに、出ていかれるのは困る。取り敢えずシャワー浴びてくるから俺の部屋で待ってろ。」

進藤さんは私の頭をポンっとして、優しい表情をする。そして部屋を出ていった。

ポンっとされたところを自分の手で触る。

「…私、凄い事言っちゃったなぁ。」
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