明日は明日の恋をする
砂浜の人混みをすり抜けながら走る私達。

「ここまで来ればいいか。」

進藤さんの一声で、私達は息を切らしながら走るのをやめた。

「美玲さん、大丈夫ですか?」

「ふふ、流石に疲れました。」

心配そうに進藤さんは美玲さんの顔を覗き込む。美玲さんは笑顔を見せるが、その場に座り込んだ。

「明日香ちゃんも大丈夫?」

「あ、うん…大丈夫だよ。」

高瀬さんに聞かれ、私も笑顔で返事する。でも、本当は男に掴まれたところがズキズキしていたが、心配させたくないので黙ってた。

「皆さんは先にホテルに戻ってて下さい。砂浜に置きっ放しの荷物を取りに行ってきます。」

「あっ私も一緒に行くよ、ナオ君。」

「ありがとう、じゃあ一緒に行こ。社長と美玲さんは先に部屋に戻っていて下さい。」

「すまないな、高瀬。」

進藤さんはそう言うと、美玲さんとホテルの中へ戻っていった。

「じゃ、俺達も荷物取りに行こうか。」

私達はまた砂浜を歩き、パラソルの所へと戻る。すると荷物を持つのかと思いきや、高瀬さんはパラソルの下に寝転がった。

「ここで少し休憩しよう。疲れたー。」

「うん、疲れたね。」

ホント…疲れた。高瀬さんの横に座り、ボーっと海を眺める。

「そういや明日香ちゃんの水着姿、見れなかったな。今、水着着てるんでしょ。少し泳ぐ?」

「あはは、そんな元気ないよ。」

「え~残念。水着見たかったのに。じゃあ、そろそろ戻りますか。」

「そうだね。」

少し休憩した後、荷物を持ちホテルへ向かった。砂浜をのんびり歩きながら会話をする。

「ナオ君、時々仕事モード崩れて素に戻りかけてたね。」

「マジ?ハハハ、俺の仕事モードは鉄壁じゃないんで…。」
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