My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
いつの間に廊下に出たのだろう、全く気付かなかった。
彼は防寒具を身につけていなかった。このくらいの寒さはどうと言うことないのだろうか。
相変わらずの不機嫌顔で彼が口を開く。
「何処行く気だ?」
「えっと、起きたらセリーンがいなくて、下かなって思って」
「あいつらならあのデカ蛇を見に行った」
「え!?」
驚く私にラグは面倒そうに息を吐いた。
「この寒さでまた冬眠されたんじゃ困るからな」
「でも、セリーン平気だった? さっき、その、結構辛そうで」
「あいつが言い出したんだ。腕の調子を見るついでに行くってな」
「腕?」
「治ったっつっても、一度腱をやられてるからな」
「あ……」
傭兵を生業にしているセリーン。剣の腕が鈍っていないか気になるのは当然だ。本当はすぐにでも剣を振り回したかったに違いない。
でも私を捜すためにほとんどビアンカの上でそんなチャンスは無かったはずだ。
「で、アルの奴が勝手について行った」
「そっか……。アルさんがいれば安心だね」
セリーンはきっと間違いなく一人の方が良かったのだろうけれど。
でもそこまで動けるほどには回復したということだろうか。