My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2

 先日見た夢。
 皆泣いていた。両親も、友達も皆。
 単に自分の不安な気持ちが見せた夢だったらいい。あの時は熱も高かったから。

 ……でも、本当の声に思えてならなかったのだ。

 エルネストさんは再び憂いの表情を浮かばせ答えてくれた。

「ごめんね。カノンの元いた世界のことは僕にもわからないんだ」
「そう、ですか……」

 もう一度「ごめんね」と繰り返した彼に、私は首を振り精一杯の笑顔で言った。

「エルネストさんのところへ早く行けるように頑張ります。待っていてくださいね!」
「うん。待っているよ」

 そうして、また綺麗に微笑んでくれた。

「ラグ、カノンを頼んだよ。それと赤毛の彼女も僕のことを知っているかもしれないんだろう? 大切にね」
「さっさと消えやがれ!」

 そしてその罵声に応えるように、笑顔のまま彼は消えていってしまった。

 ――静寂が訪れる。

 彼が消えた後は決まって機嫌最悪のラグ。それは彼の立場を考えたら仕方のないことだけれど……。

 恐る恐る横を振り向くと、丁度彼はベッドに腰を下ろしたところだった。そのまま自分の足に肘をつき怒りを抑えるように俯いてしまった。
 私は再び彼を見下ろす格好になって、次の言葉を必死で探す。――でも。

 ぐぅ~っと、私のお腹から気が抜けるような……いや、実際その場の空気が全て抜ける音が鳴り響いた。
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