Forever City.
そう言われて、私は " 水 " の使い手だということを思い出した。
水…そう、私は水の使い手。
そう思って目を閉じ、心を落ち着かせ、何も言わずにそっと念じた。
すると、先程まで床に滴り落ちていた雫の感覚が、嘘のように消えた。濡れていた前髪も乾いていて、どうやら感覚だけではなく、本当に水が消えたらしい。
ゆっくりと目を開けると『 よく出来ました。 』と笑うクラルさんが。
「 …これが魔法ですか?私、魔法使えたんですか?! 」
『 うん、そうだよ。落ち着いてやってみたら、案外上手くいくでしょ? 』
びっくりして、自分の頬や髪を触りながらそう言うと、クラルさんはまるで、親のように笑いながらそう言ってくれた。
凄い凄い、と騒いでいると、彼は壁に掛けてある飾緒を指差して『 あれ、スイのだからね。僕は外に出てるから、ちょっと着てみて。 』と言う。
それに頷いて返事をすると、クラルさんは、慌てなくていいからね、と言って家の外に出た。
恐る恐る近づいて、ゆっくりと綺麗な藍色をしている飾緒に手を伸ばす。それには埃一つ付いておらず、どこも破けたりしていない。冷たく硬い肌触りで、なんだか、胸がドキドキした。
スカート、短すぎないかな…なんて、自分が今まで履いていたスカートよりも、ほんの少しだけ短いスカートを履いてみる。それでも硬く重くて、物凄く質が良いんだってことが分かった。
上の服も身につけて、掛けていた飾緒の下に添えてあったブーツにも履き替えてみる。
着替えが終わったことを言うと、クラルさんは出てきていいよ、と言った。
ドキドキしながら扉を開けると、自然のいい香りがふわりと私を包み込んだ。
子鳥のさえずりや、どこからか鷹のような鳴き声も聞こえてくる。
「 着方は、これで合ってますか? 」
『 うん、ばっちり。サイズもピッタリみたいだね。 』