終着駅は愛する彼の腕の中
2私は犯罪者

 三日後。

 
 金奈シティーホテル。


 
 エイミが1人でやってきた。

 ちょっと古そうなグレーのブラウスに紺色のスラックスに茶系の靴。

 長い髪は後ろで束ねている。



 どこか人目を気にしているエイミは、俯き加減でロビーまでやって来た。



「エイミちゃん」


 声がしてエイミが振り向くと、羽弥斗がいた。


 ブルーのシャツに紺色のズボンに茶系の革靴姿の羽弥斗。


 着ている服も高級そうで、違う世界の人に見えてしまう。


「来てくれて有難う」


 歩み寄ってくる羽弥斗に、エイミはこくりと頷いた。


「じゃあ、行こうか」


 と、羽弥斗はエイミの手を握った。



 そのままエレベーターにのって、部屋に向かった羽弥斗とエイミ。



 7階にある一番広いダブルの部屋。

 
 見晴らしがよく港まで見える。


「先ずは座って」


 エイミを椅子に座らせて、羽弥斗は向かい側に座った。


「ちゃんと約束、守ってくれてたね。有難う」

「・・・いえ・・・」


 羽弥斗はエイミの前に小切手をスーッと出した。


「はい、約束の10憶だよ」


 小切手には間違いなく10憶の表記がされている。

 早杉羽弥斗と名前も書かれている。


 エイミは本当に用意された10憶円に絶句した。

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