終着駅は愛する彼の腕の中

「ノエリちゃん。お洋服、私が色々勝手に用意しちゃったの。気に入らなかったら、そのままにしていてくれて構わないから使ってね。パジャマもあるし、靴も用意してあるから。もう、古くなった物はどんどん捨てていいわよ」

「・・・こんなにして頂いて・・・有難うございます」

「何言っているのよ。羽弥斗の大切な人だもの、これからはどんどん欲しい物を遠慮しないで受け取ればいいのよ。その為に、羽弥斗と出会えたんじゃない。何も心配しないで、もっともっと綺麗になっていのよ」


 綺麗になるなんて、ノエリは考えたことがなかった。


 逮捕されたとき、ノエリは20歳になったばかりだった。


 短大を出て商社に勤めていて、これからと言う時にあの事件に巻き込まれ人生が変わってしまった。



 もう恋なんて一生できないと思っていたノエリ。


 でも今こうして、まるで夢のような世界を見ている。





 しばらくして。

 羽弥斗はちょっと出かけてくると言って外出した。


 その間にすみれは、疲れているノエリのケアをする事にした。


 先ずはボディケア。


 随分と頑張って来たノエリの体は、カチコチに凝っていた。


 ゆっくりとほぐしてあげて、流れを良くしてゆく・・・。



 そしてボディケアが終わると、お顔の手入れ。


 随分長い間、何もしないままだったわりにはノエリの肌はとても綺麗で。


 手入れをすると随分と若返るくらいだった。



 ずっと俯いていたせいで、ちょっと下がっていた頬も目元もしっかり上がって、パッチリしたノエリ。

 
 ボブヘヤーの髪も、後ろでゆってシュシュでとめると、とっても可愛くなったノエリ。



 服も可愛いブルー系の花柄のワンピースに着替えると、今まで暗かったノエリがとても明るく輝いて見える。


「ノエリちゃん素敵。羽弥斗がまた惚れ直しちゃうわよ」


 誉められてノエリはちょっと照れている。



「あ、そうだ。一緒にお買い物行かない? 」

「買い物? 」

「うん、だって。ノエリちゃんの下着買っておかなくちゃね」

「え・・・」


 すみれはとても嬉しそうに、ノエリの手を引いて一緒に買い物に行った。






 


 




 

 



 
 

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