終着駅は愛する彼の腕の中


 捕まった陽子は8年前の事件は良く覚えていないと言っていた。


 たまたま見かけたノエリに子供を頼んだだけで、ミルクに毒を入れた事は認めていた。


 今まで結婚してきた夫も家族も、みんな毒殺して最後に「心不全」で死亡させていた陽子。


 その中でノエリの両親の事も、毒殺していた事が判明した。


 ノエリの情報は逮捕情報から掴んでいた。


 もしかしたらノエリの無罪が判明するかもしれないと、恐れた陽子はノエリの両親を殺害する計画を立てた。


 宅配弁当を頼んでいたノエリの両親。

 そのお弁当に微量の毒薬を入れていた陽子。


 食べ続けたノエリの両親はやがて「心不全」で死亡した。




「全てお金の為よ。世の中貧乏人はバカにされ、金持ちだけが崇められるなんて、おかしいわ。だから、お金が奪えるならどんな手段を使っても奪ってやろうと決めただけ。たまたま覚えてきた薬を使って、病死に見せかけて殺せる手段が見つかってそれを利用しただけよ」


 派手な格好で捕まった陽子は居直って警察にそう証した。



「あの女の子にはちょっとだけ、悪かったかな? って思うけど。運が悪かったのよ、たまたま私の隣に座ったから。こんな私に近づくから、とばっちりが行っただけよ」

 と、悪びれる事無く陽子は言った。


 たまたま・・・それだけの理由で8年もノエリを苦しめた陽子。


 逮捕されても反省すらしていない。

 陽子の家族はいない。

 産まれてすぐに捨てられ、施設で育った陽子は、18歳から夜の商売をして生計を立てていた。

 大学へは奨学金で行っていた。

 お金持ちばかりを狙って言い寄って行き、結婚して遺産を奪っていた陽子。


 自分の産んだ子供も殺してしまうほど、お金に執着していた陽子。


 愛に恵まれなかった陽子は、きっとお金に執着して埋めていたのかもしれないと言われた。

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