甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
「……あ、よかった! ちゃんと硬さが残ってるみたい」
なぜだかホッと息をして、ランチバッグから小さなタッパーを取り出した。
「あとは、鯛の切り身と薬味をのせて出来上がりです」
料理番組のアナウンサーにでもなった気分で、タッパーの中身をスープジャーに移す。
ほかほかと湯気が立ち上るジャーを左手に持ち、スプーンで一匙掬う。
口をすぼめてふーっと息を吹きかけてから、パクッと口にした。
「うん。美味しい~」
語尾にハートがつきそうな勢いで、声を漏らすと――。
「……はああああっ」
先輩たちが、がっくりとこうべを垂れる。
「ちょっと、橋詰さんっ!」
牧野さんが、くわっと眦を開いた。
「まだまだ下から数えた方が早い、ペーペーのくせにっ! 先輩を差し置いて先に結婚とか、どういうことなの!?」
その剣幕に怯んで、私は思わず背を仰け反らせた。
「そうそう。一ヵ月前までは、いつも色気のないコンビニおにぎり食べてたのに。突然『結婚しました』って報告したかと思ったら、毎日毎日至れり尽くせりの『愛妻弁当』持ってきて、惚気てくれちゃって。羨ましすぎるのよっ」
「っていうか、なに? その、家事完璧な旦那様。もらったのはお婿さんじゃなくて、『お嫁さん』なんじゃないの~?」
なぜだかホッと息をして、ランチバッグから小さなタッパーを取り出した。
「あとは、鯛の切り身と薬味をのせて出来上がりです」
料理番組のアナウンサーにでもなった気分で、タッパーの中身をスープジャーに移す。
ほかほかと湯気が立ち上るジャーを左手に持ち、スプーンで一匙掬う。
口をすぼめてふーっと息を吹きかけてから、パクッと口にした。
「うん。美味しい~」
語尾にハートがつきそうな勢いで、声を漏らすと――。
「……はああああっ」
先輩たちが、がっくりとこうべを垂れる。
「ちょっと、橋詰さんっ!」
牧野さんが、くわっと眦を開いた。
「まだまだ下から数えた方が早い、ペーペーのくせにっ! 先輩を差し置いて先に結婚とか、どういうことなの!?」
その剣幕に怯んで、私は思わず背を仰け反らせた。
「そうそう。一ヵ月前までは、いつも色気のないコンビニおにぎり食べてたのに。突然『結婚しました』って報告したかと思ったら、毎日毎日至れり尽くせりの『愛妻弁当』持ってきて、惚気てくれちゃって。羨ましすぎるのよっ」
「っていうか、なに? その、家事完璧な旦那様。もらったのはお婿さんじゃなくて、『お嫁さん』なんじゃないの~?」