寡黙なダーリンの秘めた愛情
「美咲は本当に鈍感で馬鹿だな。ただの妹にここまでしないよ。君の20歳の誕生日のこと覚えてる?あの日は蓮が荒れてしょうがなくて、思わず君を呼び出したんだよね」

そう、あれは美咲の20歳の誕生日。

友人が開いてくれるバースデーパーティが先約に入っていたため、突然アメリカにやって来た美鈴と蓮には翌日に会う約束を取り付けた。

宴もたけなわの20時、ジムからホイットニーを通じて美咲に一本の電話が入った。

「助けてくれ、美咲。蓮が大変なんだ」

「美鈴ちゃんは?一緒にいるんでしょ?」

「美鈴もヘベレケに酔って潰れてる。美鈴は寝てるからいいけど、蓮はちょっと...」

ジムの言葉に、美咲は二人が心配になり、友人に断りを入れて友人宅を去った。

もちろんホイットニーも一緒だ。

「その蓮って男、酒に飲まれるなんて日本男児にあるまじき行為ね」

「蓮くんは元々お酒は強くないの」

蓮を庇う美咲に、Huu...とホイットニーが肩を竦める。

「仲がいいの?」

「2年ぶりに会うげど、兄みたいなものだよ」

そう、高校卒業以来、美咲は蓮と顔を合わせてはいなかった。

アメリカでの4年間は、蓮と会うことはないと高を括っていた。

まさか、蓮がこちらに来るという事態は想定していなかったから。

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