音楽のほとりで
「きっと、桜さんですね」
と言うと、南は1人ドアの方に向かって歩いていく。
その数十秒の間、尚とルイは2人きりになったが、お互いにその存在を無視しているのか、それとも躊躇いがあるのか、特に話をすることがないまま南が戻ってきた。
「尚?」
「桜、と長谷部さんも」
「こんにちは……って、ルイ?」
長谷部はルイの姿に気付くと、すぐに名前を呼んだ。
「奏音……さん?」
ルイは、久しぶりに見る親戚の顔に先ほどとは打って変わって安堵したような表情を浮かべる。
「あら、知り合いなの?」
「親戚なんだ」
「すごい偶然ね」
と、南は普段通りの態度でルイに接し、尚や桜はその変わりようについ目が南の方へといってしまう。
「尚さん、私がここに呼んだのはルイに謝ってほしいからよ」
「ごめんね尚さん。どうしても止められなくて」
やはり、南はどうしても尚にルイのことを知って欲しくて黙ってはいられなかった。
「いいからルイは黙ってて。あなたのせいでルイは一時的に可笑しくなってしまって表舞台に立てなくなったの」
南は、時折感情をむき出しにしながら話していく。
「でも最近はルイも前を向こうとしているわ。それでも私はあなたが許せないの。本当は、あなたから全てを奪いたいわ。でも、ルイはそれを望まない。だからせめて、謝ってほしいの」
「それは違うだろ」
と、奏音は南の話を遮る。
「ルイ、君はどうしたい?」
そして、話の中心であるルイに話しかけた。