あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
右側には優しく微笑んでいるパパと、左側には泣いている隼人おじさん、その正面には、手を差し出して待っている大好きな人…。

大切な人たちに祝福されて私たちは結婚式を挙げる。

クリスマスイヴにプロポーズされてから約二年、私は三十、颯馬は二十六歳になった。

最前列の颯馬のお母さんに抱かれた愛音(あのん)が私を見つけて声をあげてきゃっきゃと笑う。

颯馬によく似た可愛い娘だ。

…私にはあの夜愛音が授かった。

結局颯馬は、私を一生自分のものにしたくて、私を逃がさないようにしてしまった。

甘い彼に捕らわれてしまったのだから仕方がない。


颯馬がベールを上げて私をみつめる。

小さな声で

「杏、愛してる」

そう囁いて私たちは誓いのキスを交わした。

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