あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
杏に呼び出されればいつだって、どこにだってすぐに駆けつけた。

だから、その度に俺は決まって女の子に振られるんだ。

「私とどっちが大事なの!」と。

詰め寄られて

「付き合う時にいったよね…。
俺、好きなコいるよって。

俺の第一優先は彼女なんだ。
君を最優先できない」

そう答えると

「サイテー!!」

頬を叩かれ、泣きながら立ち去る姿を見て心が痛まない訳じゃない。

ちゃんと俺は何度も言ったよ。

「好きなコがいるから付き合えないし、君のことは好きになれないよ」って。

「それでもいいから」

食い下がられて付き合っても、つれて歩くのに見た目がいい皆に自慢するためだけの男。

それだけの存在なのに、俺の特別になれないことを理解すると怒り、泣き出し、俺から離れていく。

愛情はもてないがどの女の子にも情はあった。

自分なりに大事にしたつもりだけれどそれでも、俺の一番は杏だけなんだ。
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