あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
そんなやりとりをしているうちに、医大生の双子の妹の愛美ちゃんと弟の涼二くんが帰宅した。

「いらっしゃい、杏ちゃん!
きゃー久しぶり!」

愛美ちゃんが帰宅するなり正面から勢いよく私に飛び付き、涼二くんも後ろから抱きついてきて

「杏ちゃーん、会いたかったぁ」

と二人にもみくちゃにされる。

そう晒名ファミリーは、スキンシップが過大な溺愛家族なのだ。

幼馴染みの一途な初恋を実らせた両親はとにかく仲良しで、そんな二人のもとに育った三人は、同じように親しい人との距離が近い。

とはいえ、こうして異性に抱きつくのは、かなり親しくて好意をもつ相手に限られてはいるが…。

「…」

背後にまわった颯馬が涼二くんを私から引き剥がす。

「抱きつくな涼二。愛美も離れろ」

愛美ちゃんはさらにぎゅうっと抱きついてきて、ニヤニヤしながら

「颯馬~、なにヤキモチやいてんのぉ?

杏ちゃは颯馬のものじゃないでしょ?

ねぇ、杏ちゃん」

颯馬によく似た長いまつげの可愛らしい顔に見つめられて、思わずドギマギする。 
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