あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
ふわふわした気分で車を走らせて帰宅した。

家に入る前に颯馬に家に着いたと電話をかける。

「よかった。
おやすみ、杏。
また明日電話するよ」

久しぶりに会った甘い颯馬の香りに包まれて、とっても幸せな気分で家に入った。

「ただいま」

「あらっ意外と早い帰宅ね」

「遅いだろ!」

お土産だと渡されたケーキの箱を二人に差し出す。

「試作だって」

「 あらっ美味しそう」

「まだ仕事してるのか?颯馬は」

お土産に喜ぶママの隣でパパは顔をしかめた。

「ったく、頑張りすぎだアイツは。

身体こわすからほどほどにしろって伝えとけ!

杏に追いつこうと必死だな。」

「そうなの?」
パパの言葉にふわふわ気分から現実に引き戻される。

「そりゃそうだろ。
アイツは早く一人前になって、杏と一緒になりたいと思ってるんだから」

「あっ…」

浮かれていた自分が急に恥ずかしくなった。

彼の努力なんて深く考えたこともなかった。

いつもなんでもそつなくこなしているが、本当はものすごい努力家だ。
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