あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「虎太朗もガキの時から葵ちゃん中毒だったみたいだけど、颯馬も杏中毒だろ。

三年間意地はって杏には連絡しなかったけど、どんだけアイツは俺たちに杏の写メを送らせたか」

「えっ?」

「アイツの携帯は杏の画像だらけだよ。

俺も圭吾も杏とのデートでとった写真は全部送ってたからな」

泣き顔からみるみる私の顔は怒りに変わる。

「怒るな怒るな。

俺は颯馬なら嫁にやってもいいと思ってるぞ?

ずっと昔から杏を大事にしてくれてるのはわかってる。

杏だって嫌いじゃないだろ?」

一瞬で私の顔が真っ赤になる。

「しっ知らない!
もう寝る!おやすみ」

慌てて部屋に逃げ込んでそのままベッドにダイブする。

私の衣服にはまだ甘い颯馬の香りが残っている。

颯馬との甘いキスを思い出すと身体中が熱くなる。

もっと、もっと颯馬の香りに包まれていたくなる。

「ズルいよ、颯馬…」

会えなかった三年分、男らしく成長した颯馬を私は充分すぎるくらい意識させられて、四六時中私の頭の中は颯馬のことでいっぱいだ。

『杏、好きだよ』

甘く囁く颯馬の笑顔を思い出しながら、私も颯馬に釣り合うような素直で可愛らしい女になろう!

そう決意しながら、いつのまにか眠りについていた。



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