あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「そうだな。

金持ちっていうよりも、真っ直ぐに人を愛してぶつかれないアイツがかわいそうだな。

ある意味会社の犠牲者だよな。

それでも俺はアイツを擁護しない。

アイツの屈折した愛情は君を苦しめてきたんだからな。

あの日会社に乗り込んだのは、直哉が君を夕方会社から連れ出して強硬手段にでるって情報が入ってね。

俺の婚約者として今日のパーティーに参加させようと慌てて本社にかけこめば、呑気に受付でのろけ話してるし、イライラしたんだ、俺は!」

ムッとして恭一さんが私の腰に手を回して引き寄せる。

「 なんだろうな。
杏はものすごく甘い香りを漂わせてる。
君とのキスは甘くて仕方がない。

今まで誰ともそんなこと感じたことはない。

杏は特別で不思議な女だな。

直哉は見る目があるな…。」

フッと笑った端整な横顔にどきりとする。
さらに身体を強く引き寄せられて耳元で甘く恭一が囁いた。

「 さぁ、会場にはいるぞ。

社長と直哉に紹介する。

大丈夫、何があろうとも必ず俺が杏を守から。

杏は俺にとって大事な存在だから」

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