シュガーレスでお願いします!
「やい、お前。ひろちゃんを返せ!!」
慶太は顔を合わせるなり早速一翔くんから、向う脛に蹴りを一発食らった。
子供らしい無邪気さを装った単なる暴力に、慶太が脛を押さえて痛みをこらえる。
「っ~!!」
「こら!!一翔!!お兄ちゃんになにしてるの!!」
あの武蔵坊弁慶すら泣いたと言われる急所を的確に攻撃すると、一翔くんはあっかんべーをして、お姉ちゃんの脚の後ろに隠れた。
「ごめんなさいね。慶太さん」
「いえ、大丈夫です……。よし、一翔くん。ほら、こっちおいで」
「や、やや、やめろっ!!は、離せ――!!」
復讐とばかりに脇をくすぐられ、一翔くんはうぎゃーと泣き叫ぶ。
ああ、もう。じゃれてんだか、嫌がってるんだか……。
恋のライバル同士、好きにやってくれ。
仲良くじゃれ合っている微笑ましい2人を、陰ながら見守ることにする。
とにかく、これでお姉ちゃん一家も揃った。
お姉ちゃんたちから遅れること20分後、機材トラブルで飛行機が遅れていた慶太の御両親も到着したところで、総勢9人で迎えに来たマイクロバスに乗ってホテルへと出発する。