シュガーレスでお願いします!
奢ると言い張る有馬さんを説き伏せ、今日もお会計はきっちり割り勘にする。
お腹いっぱいになってお店を出ると、有馬さんと横並びになって駅へと歩き出す。
「あ~。よく食べて、よく飲んだ」
独り言のように呟いて、すっかり暗くなった空に向かって大きく伸びをする。美味しいご飯とお酒で英気を養ったおかげで明日も頑張れそうだ。
「比呂先生、花びらついてるよ」
有馬さんが偶然私の頭の上に着地した桜の花びらをひょいっとつまむ。
雪の多かった険しい冬が終わり、川沿いの道には早くも見頃を迎えた桜の木がライトアップされていて、夜桜デートとしゃれこむ男女の影がちらほらと見える。
もしかして……私と有馬さんもあんな風に見えたりして。
イヤイヤ、それはないなと首を振る。
「今日はありがとうございました。それじゃあ、私はこの辺で……」
いつものようにお礼を言ってその場を立ち去ろうとしたその時、ザザーっと大きな風が吹き桜の花びらが大量に巻き上げられる。