シュガーレスでお願いします!
「これからはもっと2人の時間を作らないとな……」
「どうして?」
「釣った魚に餌やらない男だって思われたくない」
それは、釣られた魚側の意見も聞いておくべきじゃないか?
「そんなことないよ。慶太が忙しいのは本当のことだし」
むしろ、今までよく会いに来れたなと感心していたくらいだ。
結婚するまで週1回は必ず飲みに誘ってくれたけれど、あれは貴重な睡眠時間を削った賜物なのだろう。
「新婚旅行に来るために頑張ってくれただろう?それで十分だから」
「はあ――……」
信号待ちになり、慶太が長いため息をつきながらハンドルに頭をもたげていく。
「どうした?」
「良くできた奥さんだとつくづく思って……」
「そうか?」
ごく当たり前のことを言っただけで、特別なことを言った覚えはない。
慶太の言う“良くできた奥さん”の基準が甘すぎるんじゃないか?