シュガーレスでお願いします!
「慶太の方こそ良くできた夫だよ」
私は日頃の感謝を込めて、ここぞとばかりに慶太を褒め称えるのだった。
「ありがと、比呂」
慶太が照れ臭そうにそう言うと、信号が変わり再び車が発進していく。
車窓の景色をのんびり楽しむ私に、慶太は急に思い出したように付け足した。
「あ、そーだ。例の“節度を持て”ってやつ……。いつでも取り消していいからな」
「え?」
唐突過ぎて話についていけず、随分と間抜けな声で聞き返せば、慶太はクックックと喉を鳴らして、心底楽しそうに笑った。
キョトンと首を傾げる私を見て、鬼の首を取ったように得意満面でからかう。
「意地張るなよー?“愛してる”って言ってくれたじゃん」
「な、ななっ!!」
動揺のあまり『なんで?』の一言がなかなか言えず噛みまくる。
私は金魚のようにパクパクと口を開けては閉じてをただ繰り返すしかなかった。
(なんで!!まだ言ってないよな!?私は断じて言ってない!!)
記憶力には自信がある方だが、どれだけ頑張って記憶を掘り起こしてみても心当たりが見つからない。