シュガーレスでお願いします!

「実際、どうなの?何か感じるものはあるわけ?」

「う~ん……。どうかな?よく分かんないや」

水族館にはジンベイザメ以外の海の生き物も広く展示されているが、実物と出会ってもシンパシーのようなものは特に感じられない。

「もしかしたら、海の生き物じゃなくて、昆布とかワカメの方だったのかも……」

海に漂っているという言う意味では、海藻だって海の生物と大差ない。

「そうきたか……!!」

慶太はさすがに堪えきれなかったのか、ハハハと大きな声で笑った。

こんなに気兼ねなく会話をしたのは、例の大喧嘩以来のことだ。

「比呂、手出して」

「こう?」

おずおずと右手を差し出すと、慶太が自分の左手と絡めてぎゅっと握りしめる。

「人も多くなってきたし、手を繋いでおかないと迷子になるよ?」

ここでは手を繋いでいないカップルの方が珍しい。

子供じゃないんだからそう簡単に迷子になってたまるかと、反論することも可能だったが、私は無理に手を振りほどこうとはしなかった。

水族館が暗くて良かった。慶太にこののぼせ上った無様な顔を見られずに済んだ。

「今日は妖怪“セツドガ―”にならないんだな」

「え、妖怪?」

「そうそう。妖怪“セツドガ―”。なにかにつけて“節度”って訴えてくる妖怪だよ。知らない?」

「そんなに節度、節度、言ってない!!」

もう!!私が節度節度うるさいのは慶太のせいだってこと、本当に分かっているのか?

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