シュガーレスでお願いします!
「それにしても、弁護士って職業も大変だよな。他人から恨みを買ってさ……」
「香子先生が若手の頃はもっと酷い嫌がらせをされたことがあるって言ってた」
今でこそストーカー規制法や業務妨害罪への理解が深まり、世間にきちんと認知されるようになったが、少し前まではひたすら我慢してやり過ごすしかなかったらしい。
法律の専門家のところに堂々と嫌がらせする人なんて、怖いもの知らずとしか思えない。
「なるべく、穏便に済ませたいところなんだけど……」
葛西さんのことはともかく、私に対する嫌がらせに関してはどうこうするつもりは毛頭ない。
一番良いのは、彼が自ら過ちに気付いて、手を引いてくれることなんだけど……。
「生きていれば良い時もあるし、悪い時もある。正しい道を歩んでいた人が小さなきっかけで間違いを犯すこともあれば、その逆だってあり得る」
少なくとも、私はそういう人達を救うために弁護士になったんだ。
(もうどうすることも出来ないのだろうか……)
慶太は私の気持ちを慮ってくれたのか、励ますように頭をポンポンと叩いてくれた。
「比呂はとことん弁護士に向いてるよ」
「……ありがと、慶太」
慶太に頭を撫でられ、私は何もできない無力さが少しだけ慰められた気がしたのだった。