シュガーレスでお願いします!
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「お疲れ様です、比呂先生」
予定していた口頭弁論が終わると、傍聴席から様子を眺めていた上野先生に声を掛けられる。
「今日は傍聴席から安心して見ていられましたよ」
「ありがとうございます。上野先生」
手放しで褒められ、こそばゆさを感じた私はうなじをさすった。
新人時代を知り尽くしている上野先生にそう言われると、恥ずかしさを通り越して苦痛でしかない。
「君島さんも今日は勉強になったんじゃない?」
「はい!!さすが比呂先生ですね!!」
勉強のために裁判所に同行していた君島さんからも、賞賛の言葉をもらうと私はますます困ってしまった。
(自分ではまだまだだと思うんだよな……)
原告の主張を覆す反証がありながら、裁判官の心証を変えるに至らなかったのは私の論述が甘いせいだ。
しかし、それは今考え出してもキリがない。
次の口頭弁論でのリベンジを心に誓うと、3人揃って裁判所から出て最寄りの駅まで歩きだす。