シュガーレスでお願いします!
「な、なんでっ……」
私がケーキを当てたことに一番驚いていたのは、勝負を持ちかけてきた清水さんだった。
ナプキンで口元に残ったクリームを拭いながら、種明かしをする。
「私、慶太のケーキは食べられないけど、ケーキの名前と形、使われている材料は全部暗記しているから」
ケーキの名前を覚えるなんて、六法全書を覚えるより簡単だ。
覚えたところで何の役にも立たないと思ったけれど、まさかこういう形で実を結ぶことになるとは思わなかった。
「嘘でしょ……。そんな口から出任せ信じないから!!」
「嘘じゃないよ。なんなら他のケーキでも試してみる?」
……結果は同じだろうけど。
挑発するようにそう言うと、大輔さんがトントンと清水さんの肩を叩いた。
「清水、潔く負けを認めろよ……」
清水さんは負けを宣言する代わりに、コック帽を脱ぎ慶太と大輔さんに深々と頭を下げた。