シュガーレスでお願いします!
カカオが濃厚なチョコレートのスポンジ。香ばしいピスタチオのクリーム。パリパリと口の中で砕けるビターチョコレートはコーティングに使ったものだろう。すっと鼻を抜けるこの香りは山椒?
視覚を封じられたことで、味覚と嗅覚が鋭くなったように感じる。
口をもごもごと動かしゴックンとすべてを胃の中に収めると、ケーキの名前を口にした。
「“カシオペヤ”でしょう?」
ごくりと唾を飲み込んだのは、清水さんか、それとも慶太なのか。
「当たり、だ……」
清水さんの代わりに大輔さんが正解を告げる。
目隠しをとると目の前には、夜空を思わせるビターチョコレートがコーティングされ、カシオペヤ座を模した金箔がちりばめられた丸いフォルムのケーキがお皿にちょこんと乗せられていた。
慶太が先日世界一のパティシエに輝いた際にコンクールで作った珠玉の一品、お値段480円(税別)。
私の食べたケーキは確かに“カシオペヤ”のようで安心した。
正解なのにみんなリアクションが乏しいから、外したんじゃないかと途中で心配になってしまった。