シュガーレスでお願いします!

「用意する材料はこれだけなんです!!」

調理台の上にはあらかじめ砂糖、小麦粉、チョコレートなどの食材と簡単な調理器具が用意されていた。

慶太の説明と一緒にアイドルの女の子が材料を順番にボウルに投入していくが、もだもだしていて粉があっちこっちに飛んでいく。

「わわっ!!慶太先生、こんな感じで大丈夫ですか?」

「ハーイ。ばっちりです」

この女の子、お世辞にも器用とは言えず毎度毎度見ているこっちがハラハラさせられる。

結婚した今ならわかる。

慶太ってば目が全然笑っていない。

soleilで働いているパティシエの子達が同じことをしていたら、烈火のごとく怒られるのだろうな、多分。

そうこうしているうちに10分のコーナーが佳境に入る。

「良いにお~い!!」

ピーピーというお知らせ音とともに電子レンジの扉を開ければ、見事なガトーショコラの出来上がりである。

「魔法みたーい!!」

調理台に盛りつけされた完成品が置かれると、毎回この決め台詞が最後に放送される。
さしずめ、慶太は魔法使いといったところか。

なるほど、最近の魔法使いは杖の代わりに電子レンジを使うんだなと面白くもない冗談が頭をよぎる。

それにしても魔法とは随分と安っぽくなったものだなとこの番組を見るたびに思うようになった。


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