シュガーレスでお願いします!
「ねえ、ガトーショコラが食べたくない?」
午後3時のおやつの時間を過ぎると香子先生は同意を求めるように、事務所にいる人間に声をかけ始めた。
しかも、ガトーショコラという渋めのリクエスト。
香子先生も昨日の放送を見ていたのだとすぐに分かった。
「ということで、比呂先生、soleilでケーキを買ってきてくれませんか?」
「なぜ私が……?」
おつかいに行くこと自体は構わないが、こういう時は大体じゃんけんか、くじ引きで決めるのに今日に限っては名指しされたので首を傾げる。
「だって比呂先生が買いに行ったらサービスしてくれそうじゃない?」
むふふっと下心を隠そうともしない香子先生に脱力する。
サービスって……。
10個買ったら1個おまけしてくれる下町の八百屋さんみたいなお店じゃないんですが……。
「私に何かを期待されても困ります」
「まあまあ、そう言わずに行ってきてちょうだい」
香子先生から一万円札とコートを渡され、背中をぐいぐいと押されてそのまま事務所を追い出される。