君への愛は嘘で紡ぐ
まだやりたいことがいっぱいあるのに。
お嬢様への気持ちに気付いて、もっと一緒にいたかったのに。
「一日だけ……一日だけでいい、から……外出許可ください……」
もう入院しなければいけないことわかっている。
だけど、このまま黙ってお嬢様と別れるのは嫌だ。
「一日だけだからな」
「神……」
中條先生は俺の額に拳を置いた。
「バーカ」
優しい声だった。
それからすぐあと、母さんが泣きながら病室に来た。
「……母さん、俺、もうバイトは辞めるし、学校行かないよ」
「それって……」
「治療に専念する。もう、限界ぽい」
酷い愛想笑いだと自分でも思った。
母さんは声を殺して泣く。
必死に母さんの頬に触れ、指で涙を拭った。
母さんは手を重ねてきて、さらに泣いてしまった。
そしてその日は病室で眠った。
◇
翌朝、看護師に手伝ってもらいながら制服を着、重い体を引きずる思いで学校に行った。
着いたときには四限の途中だった。
俺はまっすぐ保健室に向かう。
「ちょっと、玲生くん!?ものすごく顔色悪いよ!?」
汐里さんに支えられながらベッドに寝たことで、ようやく落ち着いた。
汐里さんはベッドの隣にある丸椅子に座る。
お嬢様への気持ちに気付いて、もっと一緒にいたかったのに。
「一日だけ……一日だけでいい、から……外出許可ください……」
もう入院しなければいけないことわかっている。
だけど、このまま黙ってお嬢様と別れるのは嫌だ。
「一日だけだからな」
「神……」
中條先生は俺の額に拳を置いた。
「バーカ」
優しい声だった。
それからすぐあと、母さんが泣きながら病室に来た。
「……母さん、俺、もうバイトは辞めるし、学校行かないよ」
「それって……」
「治療に専念する。もう、限界ぽい」
酷い愛想笑いだと自分でも思った。
母さんは声を殺して泣く。
必死に母さんの頬に触れ、指で涙を拭った。
母さんは手を重ねてきて、さらに泣いてしまった。
そしてその日は病室で眠った。
◇
翌朝、看護師に手伝ってもらいながら制服を着、重い体を引きずる思いで学校に行った。
着いたときには四限の途中だった。
俺はまっすぐ保健室に向かう。
「ちょっと、玲生くん!?ものすごく顔色悪いよ!?」
汐里さんに支えられながらベッドに寝たことで、ようやく落ち着いた。
汐里さんはベッドの隣にある丸椅子に座る。