君への愛は嘘で紡ぐ
少年たちとのカードの会話が終わると、今度は少女が笠木さんに抱きついた。


「おはよう、レオ」


笠木さんは嫌そうな顔をするどころか、彼女の頭を撫でた。


「おはよ。今日はお前好みのものがあるといいんだけど」


笠木さんは彼女から離れると、私が持ってきたカバンを少女に見せた。
彼女の目が輝く。


「レオ、これどうしたの!?すっごく可愛い!」
「あのお姉ちゃんがもういらないって、持ってきてくれたんだ」


急に呼ばれて、会釈をすることしか出来なかった。


「お姉ちゃんも、カバン好きなの?」


それなのに、彼女は私との会話を続けてくれる。


「好き、というか……いっぱい持っているので……」
「いいなあ。私も、いっぱいほしいんだけど、そんなわがまま言えないんだよね……」


彼女は手にしているカバンをじっと見つめている。


「それ、ほしいか?」


笠木さんが尋ねると、彼女は一瞬躊躇ったけど、頷いた。


「持って行っていいぞ」
「でも、これって売り物でしょ……?」


笠木さんは優しく彼女の頭に手を置いた。


「またここに来てくれるなら、いいよ」


曇っていた彼女の表情が、一気に笑顔に変わる。


「ありがとう、レオ!」
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